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メモのようなもの

映画と舞台の感想とか諸々

「パッション」@新国立劇場 中劇場

2015/10/24観劇。

 

 

すごいすごいと言われている作品ですが、本当にすごい。

息をすることすらしんどくなるくらい

張り詰めた世界観。

そしてそんな世界を作り上げた役者陣の演技力・歌唱力。

ここまでメイン級に歌うまが揃うとこんなにも引き込まれるんだなあ。いや、演技だけでも十分すごいんだけれど、音外れた!で意識が横にいかないのはいいよね。

 

筋書き自体はいたって単純。

天使のように美しい人妻と愛し合う若き軍人が、地方への転属命令を出され、

そこで出会った死を待つばかりの醜い女性と出会い、優しくしたことから執着され、運命が狂い始める----------

そんなどこかにもありそうな話なのに観劇後大きく息を吐いてしまうほど重くなっているのは「愛とはなにか」というどこでも使われる問いかけに他では見られない答えを出したこと、そして醜い女性「フォスカ」のその存在感。

 

フォスカは、こわい。下手なお化けキャラよりよっぽどホラーだ。本を貸しただけで「他の人とは違うの!あなたと私は他とは違うのよ」なんて言われて、

愛する恋人のところへ戻ろうとすれば縋り付かれる。

それを否定する主人公にフォスカは「私が美しかったら好きになったでしょう」と問う。そして作中、「男は顔がどうであれどの道にもいける。女は花と同等で、美しくなきゃ愛されない、意味がない」と歌われる。病弱で、なにもない上女性の権利自体現代のようではなかった時代を生きたフォスカにとってそれはとても苦しいものだったはず。

かといって同情はできない、あまりにも恐ろしい愛だから。けれど、そんな行きすぎた愛は愛し方愛され方を知らなかったからで・・・でもそれを知ったからだろう、最後のフォスカの姿はとっても美しかった。

シルビアさんは元はかなりお綺麗なのに、どす黒いクマを作ってとても怖かった。声量はあるのに消え入りそうな話し声で歌も悲壮感にあふれていて、すごかった。

 

そしてそのフォスカと対極にいるのがクララ。

美しく、愛され、恵まれたクララ。彼女と主人公ジョルジョは不倫関係だけれど、まあ今とは倫理観が違うしそこは責められない。その昔のヨーロッパでは貴婦人と騎士の不倫のような愛も美しいものとして扱われていたわけだし。

しょっぱなからシーツに包まれ微笑み、死の近くにいるフォスカと違って、豊かで生を感じさせる。天使のような、女神のような女性。そりゃあ若いジョルジョは好きになっちゃうよねえ。けれど、そんな美しい花だって美しさは永遠じゃないし、中身まで完全な天使ではない。美人はみんな性格がいいって、それはそうだけれどそうでもないんだよ(っていうとブスの嫉妬とか言われちゃうのまあまあ悲しい)

演じられた和音美桜さんは、宝塚現役時代の作品での歌うまっぷりに感動し、なんでこの方がトップにならず・・・と残念でならないのだが、外部でこうやって実力を発揮してくださるのは嬉しいなあ。気品あふれる人妻さんでした。

 

そんな二人の間で揺れ動くジョルジョ。

いやあのさ、確かに医師も諸悪の根源っちゃそうなんだけれどはっきりしないお前さんんも悪いねん!ってなった。根が女性に甘いだけに「いやいやいやいや」ってなったりもした。

彼は「愛とはこういうものだ」と答えを見出す場面。そこに狂気が見え隠れし、冒頭の甘い愛に満たされる若い青年とはまったく面影が変わっていた。彼はどうしてこうなってしまったのか?

演じられた井上芳雄さん。ついこの前出ていたエリザベートはチケ難すぎて井上さんverは見れなかったのですが歌のうまさは聞いていました。が、予想以上でした。身長もかなりあるからか軍服もなかなか似合っていて、若さあふれる青年でした。と書いてwikiみたら思ってたより5歳以上上でびっくりしている。

 

 

とにかくなかなかまとまらないんだけれど、まだよくわかってないんだけれど、

圧倒させられました。

個人的には和音さんの美声を生で聴けてとっても幸せでしたとさ。