メモのようなもの

映画と舞台の感想とか諸々

エリザベート ガラコンサート初演キャストver(2012年)

エモい、とはエモーショナルの略で・・・というのは

置いておいて、アイドルだけではなく舞台においても「エモい」という感情が生まれることがある。

このガラコンもまたその一つだ。

 

1996年。震災の翌年、震災の被害を受け立ち直ってまもない歌劇のまちから、

一人のスターが去ろうとしていた。

そのスターの退団公演作品として選ばれたのが「エリザベート」だった。

いまでこそベルばらを超える勢いのドル箱作品だが、

当時は華やかなトップスターに「黄泉の帝王」をさせるなんて、と不安視されていたらしい。

だがいざ幕が開けば好評で、何度再演しても人気は衰えるどころか増すばかり。

ここまでの作品に押し上げたのは、ベルばら初演が語り継がれるように、伝説と言っても過言ではない初演キャストスタッフ陣の力あってこそだろう。

そんなあの頃のキャストの何人かがまた集まり、エリザベートを作り上げる。

もうそれだけで感動なのに、素晴らしいのはキャスト陣が当時と変わらず、いや当時以上の実力で舞台を作り上げている。

メインに絞ってだが、もう3年も前だけれど感想もどきを書いてみたい。

 

トート@一路真輝

彼女ほどの歌唱力を持ったトップスターはその後あまり見かけない気がする。ファン歴が浅いだけなのだけれど。

女性に戻って久しいからか、中性的な魅力がより増していて、カッコイイだとかそういったのを超越した存在だった。そして、初演からの時がそうさせたのか、最後シシィを抱きしめる際の震えがトートの長い長い愛の結末を痛いほどに伝えていた。

カーテンコールで、キャストに迎えられ感慨深そうに階段を降りる姿。このエリザベートという作品のトートを魅力ある役に完成させた彼女の苦労は並大抵ではなかったし、その後もいろんなことがあったはずで、ああそうか、初演からそれだけの時間が流れていたのかと当時を知らない私さえ感動してしまった。

次に語る花總まりという役者を作り上げたのもまた、一路さんだったと思う。彼女が同時退団をさせていたら、シシィをやったすごい子で終わってたはずなのだから。

トップスターとしての実力だけでなく、人柄も完成された彼女のような方がもっともっとこれからも絶えず増えていけばいいな、と思った。

 

エリザベート花總まり

シシィ役者といえば彼女だし、彼女を語らずして日本版エリザベートを語るなとまで思ってしまう。初演時代の彼女は、たしかに綺麗だけれどどこか孤高な、娘役にあるあるなお砂糖よろしく甘くて愛されてとは一線を画していたように見える。いや、実際はそんなことはないんだろうけれど、一般人はもちろん、ほかの娘役とも違う次元にいるような、だからこそ生涯通してどこか孤独だったシシィとうまく重なったのだと思う。16年後のガラコンまで、その多くの時間をトップ娘役として過ごしていたからなのか、俗世と離れた雰囲気は変わらなかった。そして、鏡の間のシーンは現役時代以上の圧倒的な美しさと存在感を放っていた。あれを見るたび私は涙を流してしまう。あまりにも美しいのに、鋭い冷たさがあって、もうあのシーンだけで「すごいでしょ!」と言いたくなる。その後、もとい今年出演した帝劇ではすべてのシーンがより凄みを増しているし、20年近く時間が経ってるのにいつみてもダイソンよろしく変わらない美しさなのすごくない?

 

フランツ・ヨーゼフ@高嶺ふぶき

いやーーーーーーーかっこいいいよおおおおおおおおおおおこんな皇帝に愛されたら絶対旅には出ませんがーーーーーーあっでも病気移されるのはごめんなさい。

彼女がすごいのは、ほかの役者もそうだけれど日本版のエリザベートにおけるキャラクターの雛形を作ったこと。フランツをもっと冷たくも、もっと威厳だらけに頼りなくにもできたのに、暖かく優しく穏やかで、皇帝以前に人としての魅力にあふれる人物になっていて、トートと正反対の位置にいるのが際立つ。彼女のフランツはとにかく優しくて愛に溢れている。2014年のみっちゃんフランツにもそれは感じたし、そもそもの人柄なのかもしれないけれどこんな旦那様がいたら最高ですよね(それはそう)

カーテンコールでシシィを迎えるときの笑み、もうあれがかっこよくてかっこよくて。こんなイケメンな皇帝様に愛される人生でありたかった。もっと彼女のトップ時代も続いて欲しかったです。ほんとに。

 

ルイジ・ルキーニ@轟悠

ガチ恋!!!!!!!!!!!すき!!!!!!!!!!!ヤスリを!!!私に!!!!刺してください!!!!

まともに見られないでしょかっこよすぎでしょなにあれかっこよすぎ

まあ真面目に語ると、唯一の現役生徒ということで、さすがでした。ああそうそうこれ宝塚だって前提を忘れることがなかったのも彼女の力、かも。

目の動きすらかっこいいのはほんとすごいなあって思います。男役10年でイケメンは出来上がるかもだけれど、20年以上やると童話の王子様もイケメンキャラもなにもかも突破するんですね、なるほど。

アドリブでほかの回で小さい女の子が絡まれたそうですが、こんなとんでもないイケメン、男を超えた男役様に話しかけられたら同じ組のなんとかくんもかっこよく見えなくなりそうだし将来が心配だ・・・罪なお方だ

初演と比べてみると男っぷりもですが、声がより良くなってるよね・・・つらい

 

 

ルドルフ@朝海ひかる

初演ではないけれど、美しかったし印象的だった。お花様と同期だっけ。77期はすっごいのう・・・

お辞儀の仕方ひとつとっても王子様だし、こんなイケメンと「月曜日旅に出よう」って言われてピストルで撃たれても幸せな人生だったって思えそう(単純)

朝海さんはじめ同期の元トップとよく写真撮ってるお花様が幸せそうなので私も幸せだし、朝海さんはいつまでたっても少年みのある美しいお方ですごいなあって感動してる。

 

ゾフィー初風諄

すごい、威厳。すごい、風格。皇太后だ・・・

初代マリーアントワネット様なわけですが、いやそりゃあこんなに威厳あるアントワネット様は他の組にも出演してくださいってなるなあ。

ゾフィーって、実力があるのは前提でそのうえ風格も必要だし、大変な役なイメージなのですが、過去に演じてきた方々のなかでも特に好きかもしれない。

ハプスブルクの名を背負うプライドも見えるし、ああきちんとこの人は皇后として努めてきたんだろうな、とも納得できる。

いまもなお語り継がれる伝説の作品のヒロイン役者が、いまも舞台にこうやって立っていらっしゃるのはとても素晴らしいな、と思っています。

娘役は男役の添え物感がいやでも感じられる今日この頃、カンちゃんに娘役指導とかしていただきたいなあ・・・娘役の存在だって唯一無二なのに、たまにしんどいこの状況が変わってほしいものです。カンちゃんほどの方がでなくても、せめてある程度貢献してきた娘役さんにもはなむけを、とふと思ってしまった。

 

 

ほかの役者さんも素晴らしかったし、改めて好きな作品だと実感できた。

来年の帝劇もですが、次の塚再演も楽しみです。ちなみにまぁみりコンビのつもりで楽しみにしています。おしまい。