メモのようなもの

映画と舞台の感想とか諸々

星組新トップコンビの発表。

1日空けずにかー、とも思ったけれどそんなもんなのかなあ。


この度、星組 次期トップスターに紅 ゆずる、次期トップ娘役に綺咲 愛里が決定しましたのでお知らせいたします。

なお、紅 ゆずる、綺咲 愛里の新トップコンビとしてのお披露目公演は、2017年1月6日に初日を迎える星組東京国際フォーラム公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』となります。
   


紅ゆずるさん、徹子さんのモノマネやREONでの客席係などギャグセンスもあってキャラクターがとても好きな方です。
柚木さんの頃から2番手で、2人のタイプの違うトップの元でじっくり経験されてきたと思うので、それが発揮されるのかな、と期待。
歌もこうもりでは良くなったように思えるし、あとは以前タカスペ休演をしたりといった体調面も気になるけれど、ひとまず円満?就任のようでよかった。
生え抜きと落下傘が交互なんですね、星組って。

相手役の綺咲愛里さんはルックスがとにかく可愛いし小顔で華奢。
めぐり会いの新公で色々びっくりしたのですが、段々芝居も良くなって、歌も高音がそれなりに出るようになったりしているような。すごい努力されてるのが伝わるので応援したくなります。
前は夢咲さんのコピー感が強くて、本人も尊敬しているからこそなんだろうけれどそこが気になっていました。最近はそうでもない気がします。
そしてダンスがしなやか!ラブドリでその印象がとても強かった。
花乃さん、咲妃さんと同期とのことで、今度はこっちが3人娘になるのか?
今のトップ娘役陣誰ともかぶらないタイプの子なので楽しみ。




正直、現在のみちふうに比べると実力は落ちると思います。
歌上手い組子が推されていたり、実力重視傾向の中でこの2人を選んだ理由はそれなりにあると思っているので、
ひとまずプレお披露目が楽しみです。


その前に桜華ね

貞子VS伽倻子

★★★★☆

 

めっちゃ面白かった!そして怖かった!

角川40周年記念映画でありそしてお祭り作品。

ホラーでこんなに笑えるってなかなかないのではないかと・・・

 

Jホラーといえばそのじわじわとくる怖さ、振り返ると奴がいる恐怖など

他国のホラー作品にはない恐ろしさが評価されています。

その代表例が「リング」の貞子。

真っ白なワンピースに長く垂れ下がった黒髪というアイコンは

今やリングの名を知らない人たちにとっても知れた存在になり、

お化けの表現として(おそらく)もっともメジャーなものになっています。

私の高校時代を思い出しても、ホラー映画を自主制作しようとなって

出てくるお化けはセーラー服だろうとブレザーだろうと貞子スタイルだったなあ・・・

呪いのビデオ、という不可抗力的存在もまた人気のひとつなように思います。

観ていないけれど。

あ、あと仲間由紀恵さんが生前の貞子をされてましたねwあんなかわいいのね・・・

一方の「呪怨」の伽倻子はどちらかというとその息子・俊雄のインパクトに

負けている感がなくもないですが、初期の布団に潜っても襲いかかる

こちらもまた避けられない恐ろしさで知られています。

 

ちなみにこの二人と俊雄くんのHPなどが公式サイトに掲載されているのは笑うしかない。

 

 

そもそも日本って昔からコワーイ話、好きですよね。

平安時代に書かれた「大鏡」では丑三つ時に肝試しをする話があり(まああれは藤原道長スッゲー!が一番のアピールポイントな気もするけれど)、江戸時代には四谷怪談や

お皿が足りないといって出てくるお化けがいたりして。

そういえば江戸時代のこのおふたりは井戸から出てきますね。貞子・伽倻子とも縁の深い?場所。

その後もとい現代でいえばやっぱり「学校の怪談」でしょうか。

映画の「学校の〜」は小学生のときにみたらそれなりに怖くて、少し成長してみると戻らないあの夏休みを思い出したりノスタルジックさがある、いわば和製スタンドバイミー的な良さもありますよね、というのは個人の意見ですが。

ということでやっぱりJホラーが生まれるだけの要素っていうのはあるんだと思いますよ。

民俗学という学問がきちんと存在しているのもその一つなのかも。

 

 

そして今回の貞子VS伽倻子はそんな怖い話大好き日本人が産んだ二大バケモンの

対決が描かれています。

と書くとただのギャグっぽいけれど、2人の作品が世に出たのはもう20年近く前。

そもそもこの2作品を知らないひともたくさんいるからか、

二人の恐ろしさをきちんと表現し、新しい展開も見せているのできちんとホラーになっていました。

どういう呪いのシステムなのかや具体的な現象まで描かれているので本当に怖かった。

 

貞子伽倻子といわれていますが、俊雄くんも大活躍です。ていうかなんなら俊雄くんがヒロインだし一番かわいそう(意味不明なネタバレ)。

まあママはラスボスだもんね、仕方ないね・・・・

 そうそう、貞子はVHSから出て来るお化けなので今時意味ないじゃん!と伽倻子が政見放送で煽っていましたが、そこは問題なし。人間からしたら大有りですが。

 

 

山本美月さん、玉城ティナさんもとっても美人さんで癒しでした。

 

 

バケモン同士のバトルはとにかく面白いし、オチはとんでもないことになっているので前半のホラーっぷりに耐えられるなら観て損はないと思います。

後半は怒涛の展開すぎて笑いそうになるんですがクライマックスで完全に腹筋が崩壊しました。

そしてエンドロールと共に笑いに包まれる会場・・・

好みはわかれると思いますが幸せになれました(?)

 

 

あえて不満なところをあげるとすればホラーパートの「そこいるか・・・?」ってところなんですが、まあ二人がいかに恐ろしいか表現するには

必要だったのかな。

 

 

 

デッドプール

★★★☆☆
 

マーベルコミック原作の人気作「X-MEN」シリーズのスピンオフで、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」に登場した異色のヒーロー、デッドプールを主役に描くアクションエンタテインメント。好き勝手に悪い奴らをこらしめ、金を稼ぐヒーロー気取りな生活を送っていた元傭兵のウェイド・ウイルソンは、恋人ヴァネッサとも結婚を決意し、幸せの絶頂にいた矢先、ガンで余命宣告を受ける。謎の組織からガンを治せると誘われたウェイドは、そこで壮絶な人体実験を受け、驚異的な驚異的な治癒能力と不死の肉体を得るが、醜い身体に変えられてしまう。ウェイドは、赤いコスチュームを身にまとった「デッドプール」となり、人体実験を施したエイジャックスの行方を追う。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」でも同役を演じたライアン・レイノルズが、毒舌家で自己中心的という型破りなアンチヒーローデッドプールに扮した。全米ではR指定作品として記録的な大ヒットを飛ばした。監督は、視覚効果分野出身で今作が初長編作となるティム・ミラー。(映画.comより引用)

まずそもそもなんですけれど、わたしはアメコミヒーローのことを全くと言って良いほど知りません。
スパイダーマンは見たことあるけれど他は名前くらいしか。
なのでこれはアクションシーンの大音量が苦手でアメコミヒーローを知らない人間の感想と思っていただければ。


1 知識なしでも楽しめる展開
これは割と大きかった。
確かに他のヒーローとの比較?はありますが知らなくても笑ったりできる程度に抑えられているし、スムーズに理解もできるので良かった。
あと、なんだかんだでヒーロー物らしいところはきちんとあってギャグで完結させなかったのもさすがマーベル(よく知らない)。

2全身○○ネタはまだ可愛い吹替版の威力
下ネタのオンパレードな本作。
公開直前に日本オリジナルのデップーからのコメント動画が配信されました。若い子向けでは大統領候補の不動産王をネタにし、女性向けには自分のスーツは○○製と言い出す期待通りな内容。
で本編はそれを軽く超えた下ネタっぷり。吹き替えで観たからなのかもしれませんが
ピー音なしでよくぞここまで・・・
まあ映像でもガッツリなのでそりゃ年齢指定もされるわ・・・


3キャラクターの個性がわかりやすい
1で内容が初心者でも理解しやすいと書いたけれどキャラクターも同様。
ちゃんと一言でそのキャラクターを表現できるほどんかりやすい。 
個人的にはちょこちょこ出てくるインド人運転手と黒人おばあちゃんが最高です。 
あとヒロインがほんとうに良い女!見た目も美人ですが中身もとても素敵。彼女がいるからこそデップーはヒーローであるんだと思ってしまうほどでした。

4ポップコーンはいかが?なあの子 
そう、あの子。
本編に定期的にあのキュートな顔やキュートなお名前が出てきます。
日本が生んだ世界的人気の猫ちゃん、ハローキティさんはヒーローの心をも掴んだようです。
ちなみにデッドプール公式ツイッターが唯一フォローしているのはキティさんです。
わたしのかつての趣味は全国キティちゃんグッズ集めです(どうでもいい)


5過去の話は・・・
デッドプールが現在ヒーローとなるに至った過程も描かれます。丁寧とはいえ長いし、過去パートがガッツリあるというよりもブツ切りでちょこちょこ出てくるのが残念でした。
ええここで?!ってタイミングもあるし、これがどうしても気になった。



というわけでアメコミ映画の感想を書きました。
同時期に公開されていた日本の変態ヒーロー映画は見れなかったのですが
下ネタは世界共通ってことがよくわかりました!世界は一つ!! 



宙組エリザベートの配役!

まだデップーの感想書いてないのにね・・・


本公演及び新人公演の配役が一気に発表されました。

まず本公演、ゾフィーは安定の純矢ちとせ様。しっかりして強くて皇太后としての誇りを持った素敵なゾフィー様になりそう。

そしてうららちゃんはマダムヴォルフ。
歌が・・・なイメージですがどうやら低音はいけるそうですしホッタイのタコ足が素晴らしかったので期待!仲良し?な愛ちゃんとも絡むしね〜〜 

スペシャルなマデレーネは結乃かなりちゃん、
リヒテンシュタインは彩花まりちゃんとそれぞれの役の見せ場にあった配役で一安心。
ヴィンデッシュ嬢以外は女装はなかったはず。
ちなみにヴィンデッシュ嬢はもんち。歌が上手いのでみりおんシシィとの掛け合いが楽しみ。 子ルドは予想通りまどかちゃん。

男役では
ルドルフ、シュテファン、エルマーを3人で交代でやる模様。
うーんこれどれも見たい。
エーアンの歌手は期待のるかぜくん。
和希そらさんは黒天使。彼女のダンスが軽やかで楽しげでホッタイですごく好きになったので黒天使はそらくんロックしそう・・・組ファンからも組子からも愛されてるイメージ。

果たしてエトワールは・・・?
初演から20年だし今回はゾフィー様とか?それともまどかちゃん?最近推され始めたしーちゃん?まいあちゃんもありそう。

新人公演!は!
シシィはこれも予想通りのまどかちゃん。あれだけ歌えてアイーダも好評だったし納得!
トートは最後だしそらくんかなあ、と思ったら瑠風輝くんでした。エーアンの歌手もやるし期待の若手ってところでしょうか。
フランツは留依蒔世くん。しばらく休演してバウで復活したそうでよかった〜〜歌うまフランツだし、本当に評判が良いのでこちらも楽しみ。
ルキーニはそらくん。まあ確かにトートより似合いそう。グランデアモーレって叫ぶの似合い
そうだしキッチュもバッチリ決めてくれそう。

ルドルフは鷹翔千空くん。なんとまだ101期生とのことで・・・凄いねえ、しかも主席とは。
同期の湖々さくらちゃんも少年ルドルフ。
さらに102期生も女官に美容師にと活躍のご様子。

ノブナガに続いて超若手にも活躍の機会が増えてるようで嬉しい限りです。
エリザベートは役は少なくてもミルクなどソロパートは割とあったりするから
なんだかんだで嬉しい演目だったり。

まあ、チケット、取れないよね・・・


ロイヤルナイト 英国王女の秘密の外出

★★★★☆

 

エリザベス2世、といえば

国史にその名を輝かせる処女王ことエリザベス1世を超える

英国王室最長の在位年数を誇る現女王様。

御年90を越えながらも公務に忙しく、圧倒的人気を誇りながらも

孫が現在の奥様にプレゼントされたWIIに熱中したり、まさかの公式twitter

開設したりとそのアクティブかつオープンなお姿も話題に・・・

っていうのはwikiでも散々書かれていること。

今作では、実際に彼女が1945年の戦勝記念日にお忍び外出をしたエピソードを

脚色して作られたフィクションとしての女王の王女時代が描かれています。

 

 

 

 

 

公式サイトでもローマの休日の○年前、といういいかたをしているだけに

どことなくローマを意識した作りであることは伺えます。

とはいえ彼女は現実かつ現役なのであまりにぶっ飛んだ感じはない。

バスの中で出会ったジャックとの交流と同時に描かれるのは「いずれ女王になることへの自覚」でした。

記念日に沸き立ち、演説には聞き入る。高揚感はあって、だけれども単純なことではない知り、自分たちが豪華な食事をしている一方で貧しい中生きる国民の姿を見て彼女は統治者としての自我に目覚めていく。

たくさんのエキストラを投入しているからか高揚感はとても伝わるし、王女の成長がとても鮮明でした。

フィクションなのに、現在の王室のオープンさや女王のカリスマ的人気を見てなんだか納得できてしまう作り。

(孫である王子が自分より自分の生まれたばかりの子供のほうが髪がふさふさ、なんて言ってたのはオープンってレベルを凌駕してる感あってびっくりしました)

 

そして彼女の妹マーガレットもおちゃめで可愛い。世間を知らないからこその振る舞いにハラハラするけれども良い意味で姉のエリザベスと対照的。

姉妹のシーンはとってもキュートでしたよ。

 

彼女の父親、といえばあの「英国王のスピーチ」でも知られるジョージ6世ですが、

彼の演出や扱いも無個性化されておらずこっちも個人的にはポイントが高かったのですが、王妃がただのうるさいママになってしまったようでもったいなかったなー。

 

エリザベスと出会うジョージは軍服がとても似合ってイケメンでした(凡)

彼がどんな人物なのかはエリザベス視点でしか明かされないので一つ一つの行動が気になるし疑ってしまう。ただの一般的国民にしなかったからこそ王女の成長がよりわかりやくなったと思います。

 

あと、姉妹のお付きである兵士2人(一人は大尉だったかな)がすごく面白い。

そもそもこの二人が事件のきっかけなんですよね・・・王に無礼は働くし酔っ払うしいちいち笑わせてくれて面白かった。

 

少し残念だな、とおもったのはラストのあるシーン。

そこはなくてよかったのにな、と思ってしまった。

とはいえエリザベス女王をはじめとした英国王室への敬意が溢れながらも

ロマンチックな作りになっていて90分と少しながらとても

満足でした。

 

 

星組「こうもり/THE ENTERTAINER!」

この前の土日、観てきました。
ひっっさしぶりに当日券に並んだのですが  
みんな何時から並んでるのか謎なレベルで朝早くから先客様がたくさん。
休日に死ぬほど寝るようになってしまったので
ちょいとしんどかった。
オールして講義出たりアルバイトからの早朝練習からのフルコマ、なーんてやってた頃が懐かしい(ついこの前です)



とはいえ並んでよかった!みれてよかった!
星組の歌唱力の高さが心地良かったです。
 
「こうもり」
こういう底抜けに明るくて、復讐も楽しいものだとストレス、というか暗くなることもなく観れるから好きです。
トップ2番手のふたりのコメディエンヌっぷりも素晴らしい。
もちろんふうちゃんも。そしてふうちゃんのメイド仲間は今回退団のゆあちゃん、人気なきほちゃん、期待の若手ほのかちゃん、みねりちゃんという歌うま揃い。
みねりちゃんは今回初セリフかな?ラブドリのアドリブ?は除くと。
男役で言えばこっちゃんもなかなか笑いを取りにいってていちいち面白い。 
マギーさんも強烈だし、95期のりらちゃんと今回退団のひなのちゃんの並びも可愛らしいしマギーさんの臣下ズもイケメン揃い。

「THE ENTERTAINER!」
ダルマがたくさん見れて幸せでした。


っていうのも、なかなかないじゃないですかそもそもダルマ。男役さんにとりあえずやらせちゃおとかじゃなくて娘役さんが着るのが良いです。
102期生ロケット観たかったな・・・
コメディなシーンもあって、とにかくずっと楽しくみれました〜
男役燕尾でのまさこさんとみっちゃんのシーンには来るものがありました。そういえば、本科予科の関係でしたっけ。
みちふうデュエダンはまさかの歌つき。


北翔海莉さん
歌も上手くて芝居も上手くてアドリブもできて。
こんなに揃ったトップさんが3作で退団なんて寂しいけれど彼女主演で本当に楽しい作品が見れて良かった。
エンターテイナーの冒頭の歌は青い薔薇も含めてみっちゃんのことのように思えて楽しいのに涙が出た。

妃海風さん
歌上手い、高音が良く出る娘役さん好きだ〜
メイド服もドレス姿も良くお似合いで、
ショーでも活躍。 
コメディエンヌっぷりもさすがですし、こっちゃんとの同期コンビも楽しかった!

紅ゆずるさん
コメディエンヌっぷりもさることながらガイズよりも歌が良くなってたような。
奥さんが怖いのにかわい子ちゃんにヘラヘラしちゃうし、酒に潰れるしダメダメなんだけれど憎めない伯爵でした。


礼真琴さん
お芝居での実はアデーレが好きなキャラ、イメージが変わりました。しかしいちいち動きが面白い。あとはもちろんショーでの活躍。アイドル風の場面でのかっこよさが素晴らしかった・・・


他に気になったのがせおっち。
すごく最近活躍が目立ってて、面白くてイケメンなのは知っていたけれど本当にかっこいい。
そして同じく95期のひろ香くんもイケメンになっててオペラロックしてました。
2人の同期男役のようなイケイケイケメン枠ではないのかもしれないけれど星蘭ひとみちゃん(美人!あと肩の作り?のせいか?よく見つけやすい)と踊るシーンで包容力があってその上男っぽさもでてきてこれからが楽しみです。 

95期でいえば当日席からでも見つけられるほど紫りらちゃんが好きです。もう可愛い。
私もほっぺ触れる側でいたかった。


とにかく充実して楽しい公演でした。

そして公演シャンパンも飲みました〜飲みやすくてこうもりの世界をより楽しめました。

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海よりもまだ深く

★★★★

海街diary」「そして父になる」の是枝裕和監督が、「歩いても 歩いても」「奇跡」に続いて阿部寛と3度目のタッグを組み、大人になりきれない男と年老いた母を中心に、夢見ていた未来とは違う現在を生きる家族の姿をつづった人間ドラマ。15年前に文学賞を一度受賞したものの、その後は売れず、作家として成功する夢を追い続けている中年男性・良多。現在は生活費のため探偵事務所で働いているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳していた。別れた妻・響子への未練を引きずっている良多は、彼女を「張り込み」して新しい恋人がいることを知りショックを受ける。ある日、団地で一人暮らしをしている母・淑子の家に集まった良多と響子と11歳の息子・真悟は、台風で帰れなくなり、ひと晩を共に過ごすことになる。主人公の母親役を樹木希林が好演し、共演にも真木よう子小林聡美リリー・フランキーら豪華な顔ぶれがそろう。(映画.comより引用)



なりたいものになれた大人ってどれくらいなんでしょう。
就活に失敗してるし、入った企業で部署外の人間からメンタルの心配をされてるような私は1番なりたくなかった私だったかもなあ、情けないや。
阿部寛演じる主人公は過去の栄光が忘れられなくて今もどうしようもない。金銭的にもだらしない。それでも家族だからなのか、母親は主人公に今も世話を焼くし、主人公は自分の生活の立て直しよりも息子が気になる。 

中年にさしかかった主人公と亭主を亡くした母親との会話で周りから笑いが起きていた。多分その世代にいた、あるいはいるからこそ共感できることもあるんだろうな〜
 
同世代という意味では私は主人公とバディ状態の池松くん演じる青年に共感したような気が。
あんなどうしようもない主人公と借りがあるといいつつ仕事したりパチンコ打ってできるのは彼が少し漏らした家庭環境に理由があるのかなとか考えてた。

どの役者さんもとても自然で、真木よう子さんはあんなに色っぽくて美人なのに所帯じみたような美しさがあるし、阿部寛さんは彫りの深い美形なのに情けないボロボロ感が妙に似合ってる。是枝作品常連のリリーさんも良かった。
 中でも特筆すべきはやはり樹木希林さん。
なんでこんなに自然で、さりげなくて、でも重いんだろう。1つ1つのセリフがありふれつつもすごく印象的に感じるのはこの方の演技故かも、なんて。

しかし私が流されたのは息子、真悟。ぜーんぜん笑わない彼がおばあちゃんに言った言葉、やっと見せた笑顔、ここで泣いてしまった・・・
この息子が主人公を感じさせるところがあって、たとえ離れても親子なんだろうな、と思える。フラグ回収じゃなけれど、はっとさせられる。
是枝監督は子役選びもうますぎる・・・ってそうか柳楽優弥氏の「誰も知らない」は是枝さんだったな。

クライマックス、主人公が息子にかける言葉、なりたいものになれなかった全ての大人に響く言葉だったと思います。

なりたいものになれなくて、自分の考えも誰かに責められるのが怖くて言えない。休日も仕事の悪夢を見て自分が普通でいられるのかも少し不安になっている。けれどあと少し、もう少しこの仕事を頑張りながらなりたいものをもう一度見つけよう。そう思えた作品でした。